映画好きのためのSF小説『リメイク』(コニー・ウィリス)

コニー・ウィリスは過去に戻るタイムトラベルものが人気で作品の数も多いけど、この作品は近未来のアメリカ。映画を撮影することが無くなっており、俳優自体もう存在しない世の中。実写を行ってるのは中国だけで、ハリウッドでは過去の人気映画を、別のデジタル化された人気俳優で“リメイク”するようなことが主流になってしまっている。現在においてもリメイクや人気俳優が出てりゃあヒットするだろうと言わんばかりの作品があるけど、映画大好きなコニー・ウィリスが皮肉も込めて書いたSF小説なんじゃないかな。
作品の未来では、タバコも酒もドラッグも映画の中に登場してはいけないようなことになっており、主人公がデジタル技術で映像を修正するような仕事をしている。その主人公と、ミュージカル映画に憧れフレッド・アステアと一緒に踊りたいと映画の道を目指している女性(アリス)とのロマンスもある。全てがCGに置き換わっているので映画の中で人間が踊れる機会はないし、そもそもダンスを押してくれるトレーナーもいない状態なわけだがなぜかこのアリスは過去のミュージカル映画の映像で踊っている…。
SF小説らしからぬほどの映画に関する脚注がついており驚かされる。もちろん全てに目を通していたら小説を読み進むのにも支障をきたすので、ほとんど見なかったけど映画の名台詞などもあるので映画好きの方にはいいかもしれない。
ちなみに、このアリスはあの『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』で、バックダンサーとして踊ってるということになってるので、このDVDをスローモーションで確認したくなるはずだ。

"リメイク" (コニー・ウィリス)

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