October 19, 2014

ジュブナイルSF『消えた町』(光瀬龍)

光瀬龍のジュブナイルである。NHK少年ドラマシリーズで映像化されていると思っていたけど記憶違いだったが、いかにもNHK少年ドラマシリーズになりそうなストーリーで面白い。中学2年生の男3人組とクラスのマドンナという登場人物がマドンナの叔父が作り出してしまった異次元に迷い込んでしまい騒動が起こる。ほとんど同じ世界や恐竜の世界、さらには宇宙人に攻撃されている世界というのが分かりやすい。主人公である勇敢でリーダーシップのある少年が解決していくというのもお決まりのストーリーだけど、水戸黄門の印籠の用で飽きずに楽しめますよね。
あとがきで光瀬龍のデジャブの記憶が書かれているが、デジャブが実は異次元あるいは平行宇宙の話であればという発想のようだ。カバーイラストと挿絵が清水勝という方で昭和のテイストが小説を引き立ててくれてます。

"消えた町 (1981年) (徳間文庫)" (光瀬 龍)

October 09, 2014

『タイムマシンのつくり方』(広瀬 正)

広瀬正さんのタイムトラベル系の短編を集めた本である。
この本を購入してまず驚いたのは解説の長さだ。筒井康隆さんが書いてるのだけれど25ページもある。こんな長い解説を見たことはない。
本を読み終え解説を読んで理由が分かった。広瀬正さんは47才の若さで亡くなったが昭和のSF黎明期に筒井康隆さんなどと同時代にあった広瀬正さんは結構苦労もしていたようだ。特に広瀬正さんがテーマとしていたのがタイムトラベルもので、かなりこだわっていたとのこと。本書の最後に小説ではないので付録として「『時の門』を開く」という一編が添えられている。ロバート・A・ハインラインの『時の門』を分析したものだがそのすごさに小松左京さんが推薦しているのはこの本が広瀬正さんの回顧録のようなものでもあるのかと思う。
作品のなかでは、『化石の街』が面白かった。時間の進み方が遅い街に迷い込んでしまった主人公。逆に言うと主人公の時間が恐ろしく速く進んでいたので…というようなお話。
『オン・ザ・ダブル』も主人公とその他の世界の時間の進み方が違ったらどうなるかという話だけど、こちらは科学の実験で意図的に時計の進み方を変えてみたらその人の行動も変わるのではないかというもので、もしかしてありえるかもと感じてしまう。
『異聞風来山人』は平賀源内は実はタイムトラベルしていた、というお話で、解説によると当時のSF作家たちのあいだで平賀源内について未来から来た人間じゃないかと言う話題があったそうだ。
『二重人格』も面白い。平行宇宙がある拍子に一人の人間を接点に混線してしまい…という物語。舞台設定なんかも面白いので映像になったら楽しそうだ。
『鷹の子』はSFではなくホラー。母親の子に対する愛情の怖さかな。
『あるスキャンダル』はロボットもの。どんどんこの物語りが現実に近づいていて面白い。
筒井康隆さんの解説を読むだけでも価値ある昭和SF タイムトラベルものの一冊だと思います。

"タイムマシンのつくり方 (集英社文庫)" (広瀬 正)