怨念をめぐる闘い『ねじれた町』(眉村 卓)

学園もののジュブナイルなんだけど舞台設定が面白い。
中学生である主人公はある町に引っ越してくる。『ねじれた町』というタイトルのように、その町では住人の念じる通りにタイムトラベルできたり瞬間移動でき、つまり“ねじれ”ている。江戸時代からの家柄が引き継がれており、因習めいたものによってねじれている。住民たちは意思の力で妖怪や鬼を出現させることができ戦う。主人公はその町や住民になじめず反発し、その怨念とも言える意思が莫大なエネルギーを生んで、主人公がその町を大きく変えることになる。
テーマとして感じるのは、旧態依然としたものから若い人によって脱却しないとなかなか変わらないよね、というようなメッセージだ。町をねじれさせている原因は町と住民がひきずっている怨念なので、その怨念渦巻く階級闘争のようなストーリーでもある。

「鬼の日」というの行事が大きな節目となるが、こういう不思議な祭りというのは現実にも日本各地に存在しているかと思う。何気なく、意味もちゃんと知らずに参加してる祭りが実はびっくりするような逸話を持っていてもおかしくないですよね。

『ねじれた町』(眉村 卓)

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