NHK少年ドラマシリーズで映像化された『夕ばえ作戦』 (光瀬 龍)

『夕ばえ作戦』と『暁はただ銀色』の中編2編からなる。

夕ばえ作戦』はNHK少年ドラマシリーズで映像化されている。見てるはずなのにどんな映像だったかストーリーも含めて覚えていなかった。wikipediaで調べると山田隆夫さんが主役だったようだ。そういうばなんとなくそんなドラマを見たような気がする。
話はとてもスピーディーなストーリー展開で面白い。ジュブナイルでよくある中学生が主人公で勇敢に敵である風魔忍者と立ち向かっていくわけだが、現代から持ち込んだ小道具がまた当時の中学生ならだれでもハマってたようなものなので入り込みやすい。東京の大岡山周辺が舞台で、多摩川なども出てきて現実感を漂わせている。江戸時代の忍者よりも現代の中学生の方が体格はいいし、運動能力も高いという発想で忍者にも軽く勝ってしまうんだけど、そういう発想もありだよなあ。
人間がばったばったと闘いで死んでいくし、あわいロマンスめいたところもあるけどハッピーエンドではない。光瀬龍さんの作品にはこういうところがあるのかな。

『暁はただ銀色』の方も『夕ばえ作戦』以上ともいえるくらい面白いストーリーだった。これもまたNHK少年ドラマシリーズで映像化されているけど、まったく覚えてない。でも映像化すると迫力ありそうなシーンがたくさんなので映画化されてもいいくらいじゃないかと思う。一気に読んでしまった。
こちらも中学生が主人公で、立ち向かうのは宇宙人。宇宙人の地球侵略に立ち向かうのである。とっても勇敢。直接戦うというよりもヒロインをめぐる謎を解明してくような物語である。

解説が眉村卓さんなのだが、こういったジュブナイルの時代背景が書かれている。私も購読していたが、当時は「中一時代」とか「中一コース」の雑誌をみんな年間購読していたと思う。人気な雑誌だったわけで、その中に掲載する小説としてジュブナイルのSFだったわけだ。こういう雑誌そのものが絶滅したであろうから、それにともなってジュブナイルも生まれてこなくなっているのかな。

『夕ばえ作戦 (ハルキ文庫)』 (光瀬 龍)

コメント